天文台
やっと許可が下りた。
ずっと前から申請していた、土曜日に天文台で星の観察がしたい…という申し出。
クリスマスの日からの魔力は増加するばかりだ、と自身が言っていた。
そして、は星が見たい、と言っていた。
ホグワーツでは、星が一番きれいに輝く時間はもう就寝の時刻だ。
ましてや、星が一番よく見えるであろう天文台には授業のとき以外足を踏み入れてはいけない。
そこでは、ダンブルドア(ひげ長)校長に申請をした。
星が見たい…と。
最初は許可が下りなかった。
けれど、が何度も交渉を重ね…週に一度ホグワーツの全体運を占うことを条件に許可してくれた。
今日は、許可が降りた一番最初の土曜日だ。
「さ、いこう、」
足音を立てずに、そーっと談話室を抜けて、廊下に出た。
それから、大理石の階段を渡って、暗い廊下を渡り、階段をいくつもあがった。
足音を立てず、生徒に気づかれないように細心の注意を払いながら進むので、俺もも精神的に疲れていた。
一番高い塔の下の階段にたどり着いたら、誰かがいてびっくりした。
「…ドラ…コ?」
「?!君こんなところで何をしているんだい?」
「ドラコこそ。僕は土曜日の夜に天文台に来ることを許可されたんだよ」
「……そうか…それならいいが…そのうちハリー・ポッターがドラゴンを連れてやってくるよ。気をつけたまえ」
「…そう……君も、先生に見つかるなんてへまをしないようにね」
はくすくす笑って階段を上り始めた。
下にいるマルフォイに向かって手を振りながら。
塔のてっぺんにつながる急な螺旋階段は長かった。
でも、は星が見れることに心を躍らせていたからあまり疲れなかったのかもしれない。
かなり速いペースで天文台の一番上についた。
外は満天の星空だった。
「…きれいだね」
小さい声でささやいていた。
冷たい外の空気が心地よい。
はクリスマスに母親からもらったたくさんの石を持ってきていた。
…そんな石もってよく登れたな、あの急な階段……
石全体に魔法をかけて袋の中からひとつずつ取り出した。
空中に投げると、それはふわふわと浮いた。
なかなか、その妙な動きが俺の体を誘う。
思わず飛び掛りたくなったが、の笑顔が怖くて、かろうじて自分の体を制した。
「…これが、今夜の星空……」
宙に浮かぶ石をそう呼んだ。
魔法をかけられた石たちは本当の星のように、たとえば太陽の位置にある星は、太陽と同じような光をほのかに放っていたし、ほかの恒星も自ら光り輝いていた。
「…ほら見て。この星は未知との遭遇、そして危険を意味する星。ひときわ強く輝いているね。きっと何かが起こる……」
が言い終えたと同時に大きな箱を抱えたハーマイオニーとハリーが現れた。
箱はどたばた暴れている。
「マルフォイが罰則を受けた!歌でも歌いたい気分よ!」
「歌わないでね」
興奮していて俺たちにはまだ気づいていないようだった。
それから、二人がこっちをむいて、叫びそうになったんだけど……
の両手が、二人の口を押さえた。
とびっきりの笑顔で。
「やあ、こんばんは、お二人さん。僕を見てそんなにおどろかなくてもいいんじゃないかな?」
「………なんでこんなところにいるの?!もう就寝時間のはず…だって、そろそろ零時だわ…」
「特別に星を見に来る許可をもらったんだよ」
が空中に浮く石を集めながら言った。
そう…と、二人が言った。
それから、マルフォイが罰則を受けたということで、二人は笑った。
は複雑な表情で二人を見ていた。
そのうち、四本の箒が闇の中から舞い降りてきて、気さくな人間が四人、姿を現した。
ハリーたちが持っていたのはドラゴンの入った箱で、ドラゴンを七人がかりでしっかりと不思議な牽引できる道具につなぎとめて握手をした。
「…これが…ドラゴンか…きれいだね…」
乱暴なドラゴンを前には微笑んでいた。
二人は喜んで意気揚々と階段を下りていった。
……透明マントは俺の横にある。
「あの二人…階段の下にはフィルチがいるっていうのに…」
の寂しげな声が聞こえていた。
しばらく星を観察していたは、やっと螺旋階段を下りた。
それから、天文台からの帰宅を報告するためにマクゴガナル教授の下へ赴かなくてはならない、といってマクゴガナル教授の研究室に行った。
「…おかしいね、扉は開けておくっていったのに……」
研究室の扉はしまっていて、中からは厳しい声が聞こえていた。
内容はよく聞き取れなかったが。
はドアをノックした。
中から、入りなさい。という声が聞こえたので、失礼します、といって中に入った。
「…ミスター・、あなたはそこに腰掛けていてください。この三人の処罰が先です」
マクゴガナル先生が怒っているときに、研究室の扉がノックされた。
先生は入りなさい、といった。
入ってきたのはだった。
まさか、まで見つかってしまったのか、怒られるのかって思ったけれど…
はその場に座らされただけだった。
何も言われない。
僕たちの処罰が先だと先生は言った。
「五十?」
僕がそう聞いたら、先生が言い直した。
「一人五十点です」
寮対抗のリードを失うどころか、最下位に転落だ。
僕のせいだ。
一体どうやったら挽回できるんだ?
怖かった。
せっかくクディッチで勝ち取った寮対抗のリードを…失って、最下位になって……
ハーマイオニーも青白い顔をしていた。
ネビルは震えていたけれど…
「…先生…は…は……」
「…ミスター・ロングボトム、他人の心配をする前に自分のことを心配しなさい。・は許可を取ってこの場にいます。減点の対象ではありません」
かわいそうなネビル。また墓穴を掘った。
「さあ、みんな、ベッドに戻りなさい。グリフィンドール生をこれほど恥ずかしく思ったことはありません」
ぴしゃりと先生は言った。
うなだれて研究室を出るときにの横を通った。
何も言わなかったけれど、そっと手を握ってくれた。
握った手の中に、キャンディーが入っていた。
ハーマイオニーにも、ネビルにも同じことをしているようだった。
優しいな…
は…
スリザリンは寮対抗のリードを取り戻したんだ。
は本当は喜んでいいはずなのに…僕たちのことを気にかけてくれてる。
優しくて…
余計に苦しかった。
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見つかっちゃった(爆)
グリフィンドール生は勇気があるから、へまをするときはへまをするのかな。
がハリーたちに渡したのは丸い飴玉です。
味は…ご想像にお任せしますw