お休み


 目覚めたのは翌日。
 …なぜか、人の姿をして…だった。
 何でこうなったのかは察しがついた。
 今まで以上に自分に力がついていたから、あいつが俺にまた魔力をくれたんだろう。
 今度は好きなときに自分の姿をと同じ人に変えられる力。
 ……すこし、うれしかった。
 あいつはやっぱり、あいつなんだなと、思った。

 のっそり起き上がって、いつもの姿に戻った。
 ベッドを降りて、のベッドの横に座った。
 がうっすら目を開けて、俺の首筋をなでてくれた。
 くすぐったかった。

 「…ねぇ……あれでよかったのかな?」

 …が悩んでた。
 つらいだろうと思う。
 ……あいつは闇の魔法使いだ。
 にも同じ血が流れてる。
 あいつはハリーを殺そうとした。
 …トモダチとして、がそれを悩むのも無理はないと思う。

 「起きたかの?」

 校長が覗きにきた。

 「…先生」
 「何じゃの?おや、まだ疲れているようじゃのう……」
 「……先生、お願いがあるんです」
 「いいぞいいぞ。なんでも言いなさい」

 校長は傍に用意してあった椅子に腰掛けた。

 「…ハリーたちに加点してあげてください。彼らは正しい行為を行った」
 「うむ。そうじゃの」
 「それから……僕から、減点してください

 ぴくっと…
 耳を疑った。
 思わずの体の上に飛び乗ってしまった。
 は上半身だけ起こして、俺を抱きながら、ダンブルドアをまっすぐに見つめた。

 「…先生、僕はいけないことをしました」
 「……?」
 「僕の魔力が自分の体に収まりきっていないこと、先生はもうご存知でしょう?その魔力を使ってヴォルデモートは逃げたんです。だから…」

 しかしのう…と、ダンブルドアがひげをくりくりしながら言った。

 「…減点はできんよ。君がいたおかげでハリーの命は助かったし、賢者の石も奪われずにすんだ」
 「でもっ…」

 ふぅ…と、がため息をついた。
 なんとなく、の顔をなめた。くすぐったそうに笑ってた。

 「じゃあ…加点はしないでください」
 「………………」
 「お願いします」
 「…いいのかの?」
 「ええ」

 ハリーは?と、が言った。
 隣を見たらハリーはまだ起きていなかった。
 時々うなされているようで寝言を言っていた。

 「さて、それではもう少し眠るといい。にはもう少し睡眠が必要そうじゃ」

 はいつもの笑顔になった。
 それがうれしかった。

 「はい」






 校長がいなくなったので、俺は新しい技をに披露した。

 ぼわんっ

 って白い煙が上がって、の前にさっきまでの俺じゃなくて、人間の姿の俺が映る。
 ちゃんとホグワーツの制服も着てる。

 「…?」
 「元気出せよ、

 驚いた顔して俺を見つめてたけど、笑顔になってくれた。

 「なんだ、人の姿になれるなら早くそういってくれればよかったのに」
 「…さっき気がついたんだ。それに、これだと随分疲れるからあんまりなりたくない」
 「そう?でも…って人間の姿だとそういう感じなんだぁ…なんか、美人」
 「…そういわれてもうれしくない」

 くすくすって、ホントにいつものように笑ってくれた。
 うれしくって、まだ使い慣れない人間の手での頭をぽんぽんってした。
 ちょっとふくれっつらしたが可愛かった。

 「寝なよ。もうすぐ学年末パーティーとやらじゃないのか?」
 「そうだね。みんなに心配かけちゃ悪いし、寝ようか」

 俺は普段の姿に戻って、のベッドに入れてもらった。
 目を閉じて…夢の中に入っていった。
 俺もも疲れてた。
 いろいろあったから。






















 二日たってハリーが起きたとき、ダンブルドアと何か話した後、僕たちを仕切っているカーテンを開けて僕に声をかけた。

 「あのさ……」
 「ハリー…あの時はごめん。放っておいてしまって…」
 「ううん!いいんだよ。にはしなくちゃいけないことがあったんだから」

 ハリーは…別に気にしてないようだった。

 「…でもさ…僕の聞き間違いじゃなかった…?あの、その……」
 「…ヴォルデモートを父上と呼んだこと?」
 「あ…うん」

 くすっと笑った。
 口止めしておかないといけないな。

 「聞き間違いじゃないよ、ハリー。僕の父はヴォルデモートだ」
 「……うそ…」
 「嘘じゃない。もうひとつ言えば、僕の心臓が動いたのは君のご両親がヴォルデモートに殺された、あの日だ」

 ハリーはしばらく黙ってた。
 つらいだろうな…だから、言いたくなかった。だから、この一年隠し通してきた。
 …あの時、父上の姿を見たときに思わず叫んでしまったんだけど。

 「いろいろあってね…僕は母の体から生まれてからずっと…眠らされていた。それで…父が…君に敗れた父が…やってきて、僕を目覚めさせた…」
 「……あのさ……」
 「…恨んでくれてかまわない」
 「そうじゃないよ。…僕、は大好きだもん。いろんなこと知ってるし、あの時だって…僕を助けに来てくれた」
 「………」
 「たださ…なんとなく…今までは…が純粋な魔族で、僕とは違って何でもできて幸せで…って思ってたところがあるから意外だっただけ」

 ハリーがにかって笑った。
 僕も笑顔を返した。
 ハリーの優しさがうれしかった。
 本来ならうらまれても仕方のない立場にいるのに……

 「…あのさ…ひとつだけいいかな?」
 「ん?」
 「父上のことは…僕と、ハリーだけの秘密にしてくれないかな」
 「当たり前じゃないか!」

 ハリーが笑った。

 「誰にも言わないよ、約束する。これでと秘密の共有ができることになったね、僕うれしいや」

 ハリーは無邪気な笑顔だった。
 いいね、無邪気な笑顔。


 それから、明日の学年末パーティーには一緒に行くことを約束した。
 そのときマダム・ポンフリーがやってきて、僕たちが話をするのをやめさせたから、それ以上はハリーと話をすることができなかった。
 秘密を共有することで、なんとなく、これまで以上にハリーたちに近づけた気がする…






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 後もうちょっとだぁ(爆)
 といいつつも、この連載、ぶっ飛ばしでやってきたから、短い(爆)
 ま、いいか。
 秘密の部屋の話、早く書きたいし…ww