ロックハート


 その日は、闇の魔術に対する防衛術の最初の授業だった。
 担当教師はもちろん、あのギルデロイ・ロックハート。ナルシストないやな教師。
 幸いなことに、が去年ホグワーツで行ったことについては知らないようで、は有名ではなかった。
 ただし、それも教室に入るまでのことだ。


 「みなさん、私の授業へようこそ。まずは簡単なテストを行いたいと思いま……おや…」

 笑顔だったロックハートの顔が少しゆがんで、の席にやってきた。
 の机の上には教科書が乗っていなかった。これが原因だろう。

 「君たち、教科書は持っているのかね?」
 「「いいえ」」
 「……なるほど。私の本など持ってこなくてもいいほど、暗記してしまったんだね?」

 胡散臭い笑顔を向けられた。そしてウィンクされた。
 二人はそろって激しく首を横に振った。

 「……では、どうして教科書を持ってこなかったんだね?」
 「「…別に必要がないと思いましたので」」
 「なっ……?!」

 間違いない。
 無理に笑顔をしていたロックハートの顔が思いっきりゆがんだ。見るも無残な顔になってる。
 後ろのほうで笑い声と称賛の声が聞こえた。
 よくやった、
 ナイス!
 俺もそう思うよ…

 「ええと…まあ、いいでしょう。とりあえず簡単なテストをします。大丈夫、私の本をよく読んで、どれくらい覚えているかを見るものですからね」

 三十分ですよ。
 そういって、ロックハートははじめ!っと合図をした。

 「…知らないよね、こんな質問」
 「…すべて暗記してるなんて熱狂的なファンだけだろ。外見にだまされた…」

 の呟きが聞こえた。
 ペンで羊皮紙に記入する音は、少なかった。
 最初、一斉に名前を記入したときは、テストのときと同じような音がしたけれど。
 紙をぺらぺらとめくる…ぐらいだ。
 ほとんどの生徒が記入なんかしていない。
 に関しては、名前すら記入もしない。

 三十分。
 ほとんどの生徒が羽ペンをもてあそんでいた。
 最初の授業はまったくつまらないものだった。

 三十分後、ロックハートは答案用紙を回収し、みんなの前でぺらぺらとめくった。

 「なんと…あまり出来が良いとはいえませんね。『雪男とゆっくり一年』をもう少ししっかり読まないといけない子が何人もいますね…」

 ちっちっちっと舌打ちをする声が聞こえた。

 「もっと教科書をしっかり読んでくることをお勧めしますよ。…さて、授業ですが…」

 ロックハートが取り出したのはピクシー小妖精…
 いたずら好きの小悪魔で有名だ。

 「さあ、さあ、捕まえなさい。捕まえなさいよ!」

 ピクシーはかごから放たれたとたんに、教室の中をめちゃくちゃにし始めた。
 みんな、被害を受けないように机の下に避難した。
 ピクシーは俺の耳や体を思いっきり引っ張った。
 すごく痛くて、思わず噛んでしまった。
 ピクシーはびっくりして逃げてしまった。

 「…、そのまま捕まえてれば良かったのに」

 の声が聞こえた。
 ごめん、そんなこと考えもしなかったよ、
 ちょうど終業のベルが鳴ったものだから、みんなワッと出口に押しかけた。

 「では、教科書を持ってこなかった罰として、君たち二人にピクシーの片づけをお願いしよう」

 外に出ようとしたらロックハートにそういわれて、は露骨にいやな顔をした。
 反論しようと口を開きかけたときにはロックハートはばたん、と、扉を閉めてどこかに行ってしまった。
 どうやらは、ロックハートの頭の中に問題児として刻み込まれたらしい。
 教科書を持ってこなかった罰として…というところを妙に強調したいやな言い方だった。

 「…ピクシーすら捕まえられないやつが書いた本なんて…嘘っぱちだよな
 「ホント。ピクシーを捕まえるのなんて単純じゃないか」

 がてきぱきと魔法をかけてピクシーを捕まえていく。
 逃げられないようにしたピクシーを問答無用でかごの中に戻していく。

 「…なんで、あんなやつが教師なのかわからないよ」
 「まったくだ。きっと僕たちよりも魔法の知識なんてないんじゃないかな。ホグワーツのことだって良く知らないみたいだし」
 「自意識過剰のナルシスト…だな」
 「いやになっちゃうね」

 部屋に放たれたピクシーはすべてかごの中に戻っていた。
 別に教科書を持っていないはそのまま部屋を出て行った。
 ぶつぶつとロックハートの文句を言いながら。

 「彼しかいなかったのかな、闇の魔術に対する防衛術の教師」
 「そうだろう。そうでなければあんな無能を雇ったりしないはずさ。ホグワーツの教師は、少々おかしな面もあるけれど、魔法は使えるからね」
 「だね……」






 次の時間は昼休みだった。
 中庭で食事をしようと思って歩いていたら、運悪くロックハートにつかまった。
 俺たちは、教科書を買ってこなかった…という理由で、寮監のスネイプ教授のところに連れて行かれた。
 今日はついていない。
 俺の毛はピクシーに引っ張られたおかげでぐちゃぐちゃになっていた。
 昼休みにが綺麗に梳かしてくれるって言ってたのにさ……


 「それで…なぜ教科書を買わなかったのかね?」

 スネイプ教授の顔は苦々しげだった。
 目の前にはスネイプ教授とロックハート。
 俺はのひざの上で毛づくろいをしながら先生の声に耳を傾けている。
 の隣には
 「別に必要のないものだと思いました」
 「ピクシー小妖精すら満足に捕まえることの出来ないロックハート先生の本の内容が、本当に彼がやったものなのかどうか疑いました」

 それに…と、二人が続ける。

 「「本のネーミングセンスが最低です」」

 二人の言葉にロックハートの顔がゆがみ、スネイプ教授の顔がにやりとする。
 スネイプ教授も、ロックハートが好きではないらしい。ぜんぜんタイプ違うからね。

 「なるほど……」
 「なるほどって、リストに載っていた教科書を買ってこないなんてどういうことですか。それに君は授業中にペットを教室に持ち込んで……」

 その言葉に反応したがロックハートに黒い笑みを向けた。
 ロックハートは固まってそれ以上言葉を続けなかった。
 そのあともロックハートの小言と、自分の自慢話は延々と続いた。
 はロックハートの言葉を右から左に聞き流しているようだった。
 俺の毛づくろいを手伝ってくれている。

 「…確かに…この本は持っていなくても授業に差し支えあるまい」

 減点も、処罰もなしだ。
 スネイプ教授はそういった。
 ロックハートの顔がますますゆがんでスネイプを見た。

 「いえ!この本がなくては授業に支障が生じます!なぜ、リストに載っているのに……」

 突然、扉をノックする音が聞こえた。
 姿を見せたのは、ドラコ・マルフォイだった。

 「どうかしたのかね?」
 「はい、先生。クディッチ競技場の使用許可をもらいたいのです。土曜日の朝なんですが…僕が新しいシーカーに選ばれたんです」

 誇らしげに、ドラコは言った。
 がおめでとう、と、声をかけていた。

 「そうか。ならば新しいシーカー教育のために許可をやらないといけないな」

 二人はもう行ってよろしい。
 教授はそういった。
 ドラコが、教授に許可証を書いてもらっている間に、練習を見に来ないか、と誘ってきた。
 は考えておく、と、返事をした。



 やっと開放されたけれど、昼ごはんは食べ損ねて午後の授業に出なくてはならなかった。
 ドラコが許可をもらっていたのは何時の時間のことだろう…とか考えながら午後の授業に出たけれど、眠くてしょうがなかった。
 午後の授業の大半はの足元で眠っていた。







 そうやってホグワーツの生活がスタートした。
 最初の授業で、やっぱりロックハートに嫌悪感を抱いたは独自で勉強を開始した。
 もちろん、スネイプ教授を使って。
 日にちが過ぎて週末になったころには、の闇の魔術に対する防衛術のノートは、怪しげな呪文でいっぱいになった。
 は週末、ハグリッドのところに招待されていた。
 それからドラコの初練習を見に行くことになっていた。






 土曜日は忙しかった。
 ドラコの練習を見に行くために少し早めに起きた俺たちは、まだ完全に目覚めていないを引きずりながら競技場に向かった。
 そこで、赤毛の女の子に会った。

 「あっ……あの……」

 女の子は、グリフィンドールの一年生のようだった。
 前にあったコリンということ同じように、の姿を見ると顔を赤らめた。






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 微妙(爆)
 ロックハートは好きになれなかった(汗)
 実力がある上であの性格なら好きになれたかもしれないけどさ…