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買い物


 水曜日になって、俺とイツキとイリアはダイアゴン横丁に行った。
 イリアは煙突飛行粉が好きじゃないといって、わざわざ魔法で姿を見えないようにして空を飛んできた。
 っていうか…煙突飛行粉だと、俺が一緒に買い物に行けなくなるわけだ。
 人の姿は気に入らないから、今はいつもの姿。
 歩いていると周りにいる人たちにすごい驚かれるけど、そのおかげでイツキとイリアが通る道は確保できる。
 みんな俺の姿に驚いて道をあけるからね。

 「…それじゃ、イツキ。あなたはお友達と会う約束があるのよね」
 「はい、母上」
 「ええと…私も少しよりたいところがあるの。だから、そうね…ものすごく近づきたくないんですけど、教科書を買う書店で落ち合いましょうね」
 「わかりました」


 それから俺とイツキは短くなったローブを新調して、インクや羽ペンや羊皮紙をたんまりと買い込んで、それから……ハリーたちに会った。

 「「「イツキ!!」」」

 やあ、と、イツキも返事をした。

 「久しぶりね、イツキ。元気そうで何よりだわ」
 「イツキ!聞いてくれよ、パーシーがさぁ……」
 「イツキ、一緒に買い物しないかい?僕たちこれから書店に行くところなんだよ。教科書を買いにね」
 「ちょうど良いね。僕も教科書を買いに行こうと思っていたところなんだ」

 イツキがうれしそうに微笑んでいた。
 みんな夏休みの間に成長したみたいで、背が伸びててちょっと驚いた。
 でも、イツキよりは小さいみたいだけど。
 イツキも背が伸びたからなぁ……






 みんなで歩いて、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店に向かった。

 傍に行ったら黒山の人だかりで、表で押し合いへし合いしながら中に入ろうとしていた。
 ……理由はいたって簡単。
 ギルデロイ・ロックハート 自伝『私はマジックだ』
 サイン会があるらしい。
 そりゃ、黒山の人だかりにもなるさ。
 大体、ちょっとした見た目と笑顔におば様方は弱い。
 大方ロンの母親もキャーキャー叫んでいるのではないか。
 ……いや、ここにもいる。
 ハーマイオニーも黄色い声を上げていた。
 …どこが良いのかわからないけどなぁ。
 イツキがそうつぶやいていた。
 ギルデロイ・ロックハート。
 なんていうか、胡散臭い名前だなぁ……
 最近人気の魔法使いらしいけど、魔力が強いとは思えないんだよね。
 イリアといいイツキといい、ギルロデイ・ロックハートの話になるとすごい不機嫌になるし。
 たぶん、ただのお調子者だろうと、俺は推測してるだけど。

 「ラセン、僕たちはこっち」

 人ごみを押し分けて、ロックハートの本をつかみながら列に並んだハリーたちと一緒に列に並ばなかった。
 階段を上って二階に上がる。
 イツキも俺も人ごみが嫌いだ。
 それにさ。
 あんな人がいっぱいの中で俺に怯える人が叫び声でもあげたら大変な混乱になるしね。

 「あら、イツキ。ちょうどいいタイミングね」

 二階にはイリアがいた。やっぱりイリアも人ごみが嫌いらしい。
 すごい不機嫌そうな顔をして下の階を見ていた。

 「あんな男のどこがいいのかしら。あんな……あの人のほうがずっといい人だわ」

 なんて、つぶやいているのが聞こえた。
 まあ、聞かなかったことにする。
 イリアのつぶやきは、下の階にいるおば様方に盛大な批判を買いそうなものだったし。

 「イツキ、基本呪文集を買っていらっしゃい。……あのきらきら輝く胡散臭い人の本はいいわ。読んでも嘘しか書かれていないから」

 イツキも笑顔でうなずいた。
 よっぽどいやなんだろうなぁ…ロックハートが。親子そろって嫌ってるもんなぁ…
 とりあえず、基本呪文集を手にしたイツキはレジへと向かった。
 そしたらさ、下の階で何かもめごとが起きているようだった。
 本棚が盛大に揺れててさ。本が落ちるんじゃないかと思ったよ。
 内心ひやひやしてた。本っていうのは大事に扱わないといけない代物だからさ…
 そのうちハグリッドがやってきて、喧嘩していた……あれは…マルフォイの父親?かな、と、ロンの父親を引き離した。

 「…あら、ミスター・マルフォイじゃない」

 イリアが笑顔でそういった。

 「ドラコも一緒のようだよ、ラセン」

 呪文集を買うと、イツキは急いで下の階に降りた。
 ドラコ、と呼ぶと、マルフォイが振り返った。

 「イツキ、ああ、君もここにいたのか」

 店がざわざわしていたので、一度外に出た。
 そこでマルフォイの父親を見たけど…マルフォイとおんなじでオールバックだった。
 ……髪長い…
 なんていうか…やっぱり、親子なんだな…

 「はじめまして、ミスター・マルフォイ。イツキ・ナルセと申します」
 「ルシウス・マルフォイ、ドラコの父親だ」

 冷たい目をした、ちょっと好きになれないやつだった。
 でも、挨拶は礼儀正しい。やっぱり、魔法使いの旧家なんだと思い知らされた。
 マルフォイ氏は、イツキの顔を懐かしそう、というよりは、慕うような目で見ていた。
 イツキがその視線をむずかゆそうに受けていた。

 「…こんにちは、ミスター・マルフォイ」
 「奥様…」

 イリアが優雅に挨拶をする。
 イツキとドラコがロックハートについて意見を交わしている。

 (やめてほしいね、あの、胡散臭い笑顔)
 (同感だ。あまりいいやつとは思えないが…だが、新しい『闇の魔術に対する防衛術』のクラスの教師だと…)
 (今年もホグワーツは波乱の予感がするよ…)
 (まったくだ)

 その横で、そんな会話をまったく気にしないイリアと、マルフォイ氏が会話をしている。

 「…奥様、先日は…」
 「…ミスター、この場でその呼び方は控えてもらいたいものね」
 「失礼いたしました、ナルセ様

 マルフォイ氏が、イリアのことを奥様って呼ぶこと、そのへりくだった態度、すごくさっきまでの態度と違って驚いた。
 恐るべし、イリア。
 マルフォイ氏まで、手なずけているのか…
 奥様って呼ばないまでも、星見であるイリアのことをナルセ様、と呼ぶ時点で何かあるな…と思う。

 「ご迷惑をおかけしないようにね、イツキ」
 「迷惑なんてとんでもない。ナルセ様のご子息をお預かりすることができるなんて、光栄でございます」


 マルフォイ氏のへりくだった態度に、ドラコ・マルフォイのほうがさりげなく引いてた。
 イツキとドラコが顔を見合わせて驚いていた。

 「それでは、イツキ。いい子でホグワーツを楽しんでいらっしゃい」

 イリアは軽くイツキを抱きしめた。
 イツキは笑顔でうなずいて、ドラコとその父親と共に人ごみの中に消えていく。もちろん俺もついていく。

 「イツキ、夏休みの宿題なんだが…」
 「…まだ終わってないの?」
 「まさか。とっくに終わっているさ。けれど、いくつか心配なところがあってね。君に見てもらいたいのだが」
 「ああ、かまわないよ」

 そんな会話をしながら、イツキはドラコの家へと向かう。
 途中で、ノクターン横丁なるところによりたい…と、マルフォイ氏が言った。
 イツキは快く了承した。
 興味があるらしい。
 ドラコもそうみたいだった。






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 買い物~、そしてドラコの家へ。
 ドラコもお金持ちだなぁ…
 ドラコが好きです。何でって…いじめっ子キャラ。
 それにしてはハリーにはかなわない…ってところが特に。