お風呂
「、風呂はいるぞ」
ドラコが声をかけに来た。
はタオルと着替えその他もろもろを持って俺を連れて風呂に行った。
ドラコに家にきて三日目。
やっとドラコの家で迷わなくなってきたころだ。
「も入れるのか?」
「だって洗わないと汚れるじゃん」
「…随分毛並みは良いみたいだが」
「そう?」
俺も風呂に入れてもらう。
ユニットバス…なんだろうけど、大浴場とでも言うべきなんだろうな…
俺と、とドラコと…後何人か入ったとしても湯船はがらがらの状態。すごい広い風呂だった。
「それ、はずさないのか?」
「ん?」
ドラコが指差したのは、クリスマスにあいつからに送られた腕輪。それからから送られた指輪。
「ん…はずすとひどいことになるよ」
けらけら笑いながらはそういって俺の体を洗い続ける。
ふぅん…と、興味心身での腕輪を眺めるドラコ。
「はい、おしまい。そこで待っててね。風邪ひかないように」
濡れた鬣とか毛はすごい重い。
とかにかからないように、周りに注意してその場でプルプルと水気を飛ばす。
ドラコが笑った。
「って、ホント変なやつだな」
お前に言われたくないな……
オールバックにしないと、妙に幼い顔してるし。
「でも、一緒にいると飽きないよ」
「だろうな。僕のワシミミズクよりも賢そうだし」
「あ…そういえばさ、屋敷僕妖精のドビーって…」
「ドビーに会ったのか?あの汚い…」
汚いってひどいな…
あの日以来俺たちの部屋にやってきては、勝手に話して、勝手に自分のことを傷つけて、最後に俺の背中に乗って遊んで帰っていく。
ホント、妙なやつ。
おどおどしてて、が何か優しい言葉をかけるとうれし泣きをするやつ。
もう慣れた。
背中に乗る感触は、ニトとさして変わらない重さ。
足が生えて、俺の耳元でパタパタ動くのを別にすればあんまり気にならない。
「あれは使えない僕妖精さ。すぐへまをやらかす」
「ふぅん……」
「あんなのと会話したって面白くもないだろうに。君の部屋に現れたのかい?」
「ああ…荷物を運んだり、いろいろしてくれたから、お茶でも飲む?とか言ったらうれし泣きされた」
「そんな、対等に扱う生き物じゃない。あれはしもべなんだから。僕妖精として扱えば良いのさ」
ちょっとかわいそうだ……
「そう…ほら、僕は僕妖精に会うの、ここでが初めてだからさ。まだ扱いがよくわからないんだよ」
「そうか…父上や母上は軽くあしらっているけどね」
見習いたいよ、と、ドラコがつぶやく。
心配しなくても、お前は父親にそっくりだよ。見た目といい、中身といい。
シャワーを浴びてるの手をドラコの手が触る。
やっぱり、さっきの腕輪が気になってるみたいだ。
「なにやってるの?」
「いや、なんとなく」
「そう」
なんかすごいやばい気がするんだけど…
あの腕輪、の魔力抑制装置なんだけどなぁ…
こんなとこではずしたらどうなるんだよ。
俺に被害が及ばなければ別にかまわないけど……なんか、いやな予感。
俺の予感は的中した。
なんとなく、手をいじってたドラコ。
ふとした瞬間に、の腕から腕輪がするりと抜けた。
からからと、音がする。
「「あ」」
何が起きたかわからなかったけど…
とりあえず、浴槽のお湯が吹っ飛んだ。
せっかく乾かした体がまたびしょびしょになる。
あーあ……
「ね、恐ろしいことが起こるでしょ?」
が笑顔でドラコに言った。
ドラコの顔が真っ青になってしきりに首を縦に振ってるのがわかった。
の体は淡く光ってたけど、腕輪をはめたら元通りのになった。
「びっくりした…」
「僕のほうがびっくりしたよ。人の言ったことはちゃんと聞いたほうがいいよ?」
「はい…」
もう一回体をプルプルしながら、がドラコに向ける笑顔が妙に黒くて笑えた。
俺の体はまだぬれてたけど、がタオルで綺麗に拭いてくれた。
それから、ブラッシングしてくれた。
さっきの大騒音は幸いにも、家が広すぎたってことでドラコの両親には届かなかったらしい。
よかった……
「って……」
「ん?」
「歩く爆弾だな……危ない…」
「あはは…成長すればこんな腕輪つけなくても大丈夫になるみたい。今はまだつけてないとだめみたい」
「へぇ……」
ドラコはをからかうのはやめよう…と、心に誓ったみたいだった。
まあ、かなわないしね。今回みたいなことがあっても困るし…
なかなかいい考えだと思う…
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ドラコとお風呂(爆)
ドラコって話が進むに連れて目立たなくなってきちゃうからさ…
存在感なくなってくるんだよねぇ…寂しいねぇ…