汽車 2
双子が俺たちを連れて行ったのは俺たちが乗っていた最後尾の車両のすぐ近くのコンパートメントだった。
扉を開けて中に入る。
俺も続いて、双子を押しのけるようにして中に入る。
「…あれ?リー・ジョーダンのところに行ったんじゃなかったの?」
コンパートメントの中には二人の少年がいた。
一人はマダムマルキンの洋装店にいた黒髪でめがねをかけた男の子だった。
もう一人は双子と同じように真っ赤な髪をした少年だった。
「これから行こうとおもってたんだけど、見てみろよ、ロニー坊や。この動物を。紅い獅子だぜ?」
「珍しいだろう?最後尾の車両の端のコンパートメントにいたんだ」
赤毛の少年は不思議なものを見たという表情で俺を見ていたが、その目には少し恐怖の色が感じられた。
もう一人の少年は、俺よりものことを見ていた。
はめがねの少年と目が合うと微笑んだ。
少年の顔が赤くなった気がした。
「あのさ…その…一緒にいる子は誰?」
めがねの子が聞いた。
「ああ、この動物の飼い主の可愛い子」
「コンパートメントの端にいたってつまらないだろうからって誘ってきたんだよ。リー・ジョーダンのところにね」
…無理やりつれてきたんだろうが。
は否定も肯定もしなかった。
「…でも、離してあげたほうがいいんじゃない?手が痛そうだよ?」
「「無理!!」」
即答された。
イライラがたまっていた。
は根が優しいから何も言わないんだ。それにこの双子はよりも年上だから。 目上の人にはきちんと接すること、ってに教えられたからだろうな。
でも、もいい加減疲れたのか口をきいた。
「…あの、離してくれません?僕一人で歩けますから」
でも離してくれそうになかった。
は呆れたように微笑んで、俺に合図した。
「困るなぁ。僕は本が読みたいって言ったはずなんですけどね。新調したローブが汚れてしまいました。そろそろあなたたちのおふざけに付き合ってるのも飽きましたよ?」
笑顔でそういったは、黒い微笑をたたえて次にこういった。
「。襲え」
次になんていうか想像はついた。だから俺は身構えていた。
の言葉が聞こえた瞬間に俺は、赤毛の双子を追い掛け回した。
「うっ…うわぁっ……」
驚いた双子は一目散に逃げていった。
でも少しイラついていた俺はいい運動の機会だと思い、列車内を追い掛け回していた。
「大丈夫だった?」
「ああ。うん。平気だよ」
「あれ、君のペット?珍しいね」
「そうかな?小さいときから一緒にいるんだ。僕の大切なトモダチさ」
「「へぇ…」」
「あ、自己紹介がまだだったね。僕は。・」
「僕、ロナウド・ウィーズリー。ロンって呼んで」
「僕、ハリー・ポッター…」
「ロンにハリーか。よろしくね」
「「よろしく」」
俺がの元に戻ったとき、は楽しそうに先ほどの二人の少年とおしゃべりをしていた。
四人が座れる席があるはずのコンパートメントだったが、俺が座ってくつろぐはずのの隣は、誰かが大量に買い占めたお菓子で埋め尽くされていた。
仕方がないからの足元に寝そべることにする。
それからしばらくして、ヒキガエルを探してる丸顔の男の子が入ってきたり、その子とともに栗色のふさふさした髪の女の子が来たりした。
赤毛の男の子(ロナウド・ウィーズリーというらしい)がねずみに魔法をかけようとして失敗したなんていうのもあった。
クディッチとか言う、が嫌いなゲームの話で盛り上がっているときに、洋装店であった気取った男の子もやってきた。
みんなめがねの男の子(かの有名なハリー・ポッターだそうだ)に興味があるらしかったけれど、はさして興味がなかったみたいだった。
会話には参加しているみたいだったけれど、心はなにか他のことを考えているみたいだった。
窓の外はずいぶんと暗くなっていた。
以外の二人がローブに着替え終わったとき、車内放送が流れた。
後五分でホグワーツにつくらしい。
そう、やっとだ。
長い時間だったが、やっとホグワーツにつくのだ。
が俺にささやくのが聞こえた。
、やっとホグワーツだね。ロンドンから随分と走ってきたように思えるよ。
ホグワーツってどこにあるんだろうね。
二人の少年は緊張しながらも、残ったお菓子をポケットに詰め込んで、通路にあふれる人の群れに加わった。
はその人の群れの一番最後に並んだ。
人ごみが嫌いらしい。
ゆっくりと進みたいのだそうだ。
俺も、ぎゅうぎゅうに押されるのはいやだったからちょうどよかった。
さあ、ホグワーツだ。
外はすでに日が落ち、夜になっていた。
今日から、ホグワーツでの俺との生活が始まるのかと思うと、少し緊張した。
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結構登場したかな?
ハリーたちと関わってほしいんだけど、血は争えませんからねぇ…
この先どうやって話を進めていこう……