ホグワーツ
「…っと、こんなもんでいいかな」
カタン…と、机の上に羽ペンを置く音がした。
のトモダチ、ニトと遊んでいた俺は顔を上げてのほうを見た。
今まで机に向かって何かを書いていたは、羊皮紙をくるくるとまとめているところだった。
「終わったのか?」
「うん。そんなに長く書いたわけじゃないからね。は終わったの?」
「ああ。僕もそんなに長く書いたわけじゃないからね」
「ふくろうを借りてこないといけないね」
「…明日の朝でいいんじゃないか?今日はもう就寝時間だから寮の外に出るのはあまりいいことだとは言えない」
「そうだね。明日の朝一番のふくろうで届けてもらおうかな」
二人の会話に気を取られていた俺は、ニトのほうを向いてやらなかったものだから、思いっきり噛まれた。
……痛い。
思いっきり噛まなくても…
ため息をついてニトと遊んでやる。
尻尾を動かしてやると喜んで飛び掛ってくるのだ。
「とニトが楽しそうに遊んでる」
「ニトにも友達ができたみたいだな」
「二人が仲良くなってくれてよかった」
ふぁ〜…と、あくびがひとつ。
があくびをした。
そろそろ寝る?と、の声。
ちゃっかりニトが俺の背中に乗って寝る体制に入っていた。
「そうだね。明日は授業もあるみたいだし、早く寝ようか」
なんて声がして。
「さ、おいで」
俺を呼ぶ声。ニトを呼ぶ声。
Dear ・
一人で、寂しくはありませんか、母上。
ホグワーツに到着しました。
ホグワーツは母上に聞いていたとおり、とても広くてきれいな場所ですね。
組み分けの儀式も終わり、僕は寮でこの手紙を書いています。
僕の寮はスリザリンになりました。
ルームメイトは、人数の関係上一人で、・といいます。
僕よりも少し背が高くて、上品な栗色の髪をしています。
瞳の色は焦げ茶で、とてもきれいな方です。
そうそう、ホグワーツ行特急の中でも友達ができました。
ハリー・ポッター、ロナウド・ウィーズリー、ドラコ・マルフォイなどです。
たくさんの方がいてとても面白い場所です。
もホグワーツを気に入ったみたいです。
ロンの双子のお兄さんは顔も背もそっくりです。
彼らはとても息が合っていて、驚いてしまいます。
僕やにすごく興味があるようで何かしら話しかけてきます。
初めての友達で少し戸惑ったところもあるけれど、みんないい人たちです。
またお手紙します。
お体に気をつけてください。
・
ふくろうがやってきた。
白い大きなふくろうだった。
お客様から相談事の手紙が届くときは、灰色のふくろうかミミズクでお願いします、と頼んであるから、お客様からではないことが一目でわかる。
白い封筒に、きれいに書かれた見慣れた文字。
どこかあの人に似ている綴り。……血は争えないわね。
ふくろうに一枚焼きたてのクッキーをあげて、午後のティータイムの中で、私は手紙を開けた。
が、息子がここまでよい子に育ってくれたことに驚いた。
一人でもさびしくはないけれど……ずっと一人だったから……でも、気遣いがうれしい。
羊皮紙と羽ペンを取り出して、普段は仕事のときにしか書かない文字を、今日は久しぶりに手紙のために書いてみる。 そんなに長い内容はいらないでしょう?
あの子には、少しの言葉でその言葉の真意を見抜く力があるもの。
Dear ・
『夢見し時は今何処。今宵のときは何をすべきか。時を動かすものに目をむけて……』
・
小さく丸めて、ふくろうに持たせる。
もう一枚クッキーを渡しながら。
ねぇ、あなた……
あの子はちゃんと歩んでいます。
抱えているものはたくさんあるけれど、しっかり歩いています。
だから、あなたも…しっかり歩いてくださいね。
私はいつでもあなたを迎えますから。
愛しい人……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
はやさしい子ですよ。
ちゃんと母親への連絡を忘れない(爆)
でも、腹黒いスリザリンなところもありますけどね(笑)