一週間
翌日は、そんなにたくさんの授業があったわけではなかった。
だから、とは、俺と俺の背中に乗っかったニトをつれてホグワーツ内を探検して回った。
「…あの階段が141個目だったんだから、これは142個目じゃないかい?」
「すごい数の階段だね。これじゃ迷っちゃうなぁ…」
「本当に。生徒の数がいくら多いとはいえ…さすが魔法学校ホグワーツって感じだな」
最初は142もある階段をひとつずつ数えて回った。
自分の意思を持っているのかはわからないが、いつも決まったところに運んでくれるわけではなかった。
新入生は特になめられているらしく、意地悪なのか知れないがいつも頼んでもいないところに運ばれる。
まあ、それもとの
「「どこに連れて行くつもり?」」
っていう黒い微笑をたたえた言葉によって制圧されたのだけど。
「こんにちは」
不意に肖像画が話しかけてくることなんてもう慣れてしまった。
最初は驚いて体中の毛が逆立っていたけれど、ホグワーツは魔法学校だから何でもあるんだと考えるようになったら納得できてしまった。
「こんにちは。今日もきれいですね」
話しかけてきたのは若い肖像画の娘だった。
がそう返事をすると彼女は顔を赤らめた。
「ありがとう。あなたたちも素敵よ。ねぇ、、。今何をしているの?」
「ホグワーツの中にどんな場所があるのか探検しているところさ。何か面白いところある?」
「面白いところねぇ……ひとつあるわ。私だけが知っている小さな隠し部屋。静かでいいわよ」
隠し部屋なんていうのもあるのか…
いったいここにはいくつの部屋があるのだろう。暇があったら数えてみたいものだ。
ホグワーツの地図なんかもほしい。
「場所は?」
「やだ。隠し部屋ですもの。教えられないわ………なんてね。いいわ。教えてあげる。でもほかの肖像画には内緒よ?」
スリザリン寮の入り口から少し離れた場所にある小さな扉。
それはさっき確認した扉だけど、扉ではなくて扉の形をした壁だったはず…
その扉をきっちり三回たたいて、ドアノブ(に見える壁)を三回左に回す。
そうすると秘密の部屋が出てくるらしい。
とはその部屋に行きたくてうずうずしていた。
「どうもありがとう。これでまたひとつホグワーツが楽しくなったよ」
「それじゃ、に。今度、一緒にお茶しましょうね」
「ええ。よろこんで」
その後しばらくホグワーツを探検していたら夕食の時間になってしまったので、この日の探検はこれで終了だった。
毎日そんなこんなで一週間が過ぎていった。
やはマクゴガナル教授を始め、多くの教授から出された宿題を難なくこなしながらも、暇を見つけてはホグワーツを探検していた。
で、金曜日の朝。
朝食のために大広間に顔を出した俺たち。
今ではもうホグワーツの生徒は俺を見ても驚かなくなった。
むしろ、俺を見ると近寄ってきて、毎朝が丁寧に整えてくれる鬣をめちゃめちゃに撫で回してくれる。
まったく迷惑な話だ。
俺もこの生活に慣れてきているので、なんともいえないのだが。
「おはよう、。今日は何の授業があるか知っているかい?」
声をかけてきたのは洋装店であった男の子、ドラコ・マルフォイだった。
俺ははっきりいってこいつをあまり好きにはなれないが、は嫌っているわけでもないらしく、普段どおり笑顔で話しかける。
「おはよ。今日は何かあるの?」
「グリフィンドールの生徒と一緒に魔法薬学の授業だろう?」
「そのとおりだよ、」
「へぇ…グリフィンドールと一緒ねぇ…それは楽しいことになりそうだ」
魔法薬学…って、確か、スリザリンの寮監の教授が担当していたような気がするけれど…
「…教室って確か地下牢だったよね」
「まあ、日の光が入ってこないってところで薬学には向いているのかもしれないけれど…」
とりあえず、朝食をとり終わった二人は荷物を持って魔法薬学の教室へと向かった。
(ちなみにニトは、によって俺の背中から下ろされて、部屋でお留守番だった)
魔法薬学の教室は地下牢。想像はしていたけれど、あまりに暗くて不気味な場所だった。
教室内はすでにスリザリンの生徒やグリフィンドールの生徒が集まっていた。
ちょうど真ん中でぴったり分かれて二つの寮生が座っていたので、これほどまでにお互いに嫌いあっているのかと苦笑した。
ハリーたちがの姿を捉えて、を隣に座らせようとしていた。
「ね、。一緒に座ろうよ」
「ん?」
「…と同じ授業が受けられる数少ないチャンスだし。いいでしょ?」
「ん…」
「だって僕たち、ホグワーツに来たときぐらいしか話してないよ?僕、もっととしゃべりたい」
無邪気な目。
を見つめる視線。なんていうか、が一番苦手な目だろうなって思った。
やさしいは断ることを知らないんだ。断ることをしないんだ。
笑顔だったけど、は少し困った顔で俺を見た。自身迷っているのだろう。
そんな時、がに話しかけた。
「ん?どうしたの?」
「、そんなグリフィンドールのやつらと話なんかしていないで、早く席に着こう。そろそろ教授がやってくる」
はの後ろの襟をつかむとをずるずると引きずってスリザリン生が座っている席の空いているところに連れて行った。
「なんだよ、あいつ。感じ悪いなぁ」
そんな声が聞こえていたけれど、もも聞いちゃいなかった。
「もう、ってば強引だって。そんなことしなくたっていいのにさ」
「グリフィンドール生なんかと親しくしなくてもいいだろう?」
「さあ。話しかけてくれたから話してただけだよ?」
は笑顔でそういっていた。
俺は授業中、やほかの生徒の邪魔をしないように通路ではないほうに行って、の足元におとなしく座っているんだ。
時々うとうとしてしまうことがあるんだけれど、授業中も教師は俺のことを気にしないで進めてくれるから、寝ていてもいい、ってが言っていた。
教師が入ってきた。
なんていうか、その……陰険で根暗そのものだった。
黒いローブに黒い髪に黒い瞳。真っ黒な世界だ。
よほど黒が好きなのだろうか。
おまけにを見て驚き、ハリーを見てあきれたような表情をする教師だった。
「このクラスでは……」
そういって教師の大演説が始まった。
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ハリーたちと接触少ない(泣)
オリキャラ、は根っからのスリザリンですよ。かなり有名な家柄の子。
ちょっと態度が冷たいかもしれないけど…(笑)