二匹


 は白い。
 気まぐれ。
 私とリドルにしかなつかない。
 ちょっと不思議な猫だった。

 そんなが、一匹の猫を連れてきた。
 真っ黒で闇みたいな…猫。
 迷い込んできた猫なのか、よくわからないけど。
 と同じように私とリドルにしかなつかなかった。

 「…どこで拾ってきたんだい、こんな黒い猫」

 隠し部屋でヴォルがそういった。

 「知らないわ。がつれてきたの」

 温かいココアを飲みながらそういった。
 今朝、起きたらの姿がなかった。
 扉が開いていたから勝手に外に出たんだろうって思ってた。
 帰ってきたときには、この黒い猫を連れてきていたのよ。

 「……飼い猫…じゃ、なさそうだな」
 「そうね。白い猫も黒い猫もホグワーツでは好まれないわ」
 「…まあね。黒い猫は幸運を呼ぶっていう言い伝えがあるのに、不思議だね」

 黒い猫は魅力的だった。
 オス猫だった。
 オスにしては顔立ちが整っていて、美人な猫だと思った。
 私が抱き上げても、リドルが抱き上げても何にも言わない。
 ただ、やっぱりと一緒で首輪をつけることだけは嫌がった。

 「…どうする?」
 「拾っちゃった以上、飼わないとね」

 リドルが飼う?って言ったら、猫がいやそうに鳴いた。

 「猫のくせにご主人を選ぶんだ」
 「違うわよ。と一緒にいられないのがいやなんでしょ」

 ふふふっと笑ってリドルから黒い猫を受け取った。
 私のひざの上にはすでにが寝ていたけれど、黒い猫はそんなこと気にせずにひざの上に乗っかった。
 二匹はさすがに窮屈そうだった。

 「飼うの?」
 「飼うわ」
 「そう」
 「良いじゃない。に友達ができたんだから」

 ……私と…リドルみたい。
 ほかの人が飼っている猫とは盛大にけんかをする
 大体勝つのはだし、ほかの猫と違う気品も兼ね備えた猫。
 いつもは一人。それか私のローブの中に入って私についてくる。
 私がいないときは、リドルについてくるらしい。
 …それが、新しいトモダチを手に入れた。
 良いじゃない。
 それって。

 いつか、リドルが言っていた。
 私はにそっくりだって。
 いや、が私にそっくりだって言ったのかしら。どっちでも良いわ。
 なら、この黒い猫はリドルにそっくりよ。

 闇。
 影。
 自分の意思もあるじゃない。
 オス猫だし、自分がしたいことをするあたり、ホント、リドルにそっくりだわ。

 「…が私に似てるなら、この猫はヴォルにそっくりよ」
 「そう?」
 「そうよ。真っ黒だし、自分の意思もあるし、それに自分がしたいことをするじゃない」

 狡猾さ…は、よくわからないけど。

 「……そう」
 「に友達ができたのよ。よかったじゃない」

 二匹の体をなでたら、気持ちよさそうにしてた。
 なかなか、いい仲だ。
 猫は気まぐれ。
 私もリドルも気まぐれ。
 ちょうどいい。

 「…そっくり…ねぇ…」

 向かい側に座っていたはずのリドルの声が、隣から聞こえた。
 隣を見たら、ちゃっかりリドルが座ってた。手にはココアではなくて紅茶。
 ココアの甘さはあまり好きではないみたい。
 好んで飲むものではない、といっていた。

 「…何?」
 「……したいことするのが僕だって…そういった?」
 「ええ。そうじゃない。自分がやりたいって思ったことをするでしょ、あなた」

 そう、じゃぁ……
 と耳元でささやかれた。
 とたんに広がる紅茶の味。
 ダージリン…
 少しの間、リドルの唇と私の唇が触れ合った。
 …ホント、したいことをするのね。

 「…計画性がまるでないわ」
 「気まぐれだから、僕」
 「そう」

 軽く唇に触れるだけ。
 なんとなく。
 やっぱりあなたはこの猫にそっくりよ。

 「ね、考えてたんだ。今度の計画について」
 「…秘密の部屋?」
 「ああ。滅多にないチャンスじゃないか」
 「……でも、教師の守りはきついわ」
 「そうだね」
 「大抵の教師は気づかないかもしれないけれど…中には気づく人もいる。慎重にしないとだめよ」
 「大丈夫。へまはしないよ」
 「そう」

 サラザール・スリザリンの血を引くリドル。
 やっぱりあなたは狡猾。
 手段を選ばない。
 そこが魅力的。
 闇の力が魅力的。
 私にはできないことを簡単にやってのける、その姿。
 同じ考えだからこそ、あなたに惹かれる。

 なんとなく、リドルの肩に身を預けて、目を閉じた。
 リドルの手が私の髪を触ってた。
 その感触すら、気持ちいい。

 猫が…ひざの上で、な〜ぅと鳴いた。
 お互いに毛づくろいをしてる。
 ああ、やっぱり…私たちにそっくりね。






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 二匹目の猫。
 この猫、秘密があるんですが、それはまた別の機会に(爆)
 この二人が一番甘い(爆)
 そして、一番わけがわからない気がします……