生徒の災難


 スリザリン寮の
 いつも紅獅子を連れて歩いている、肌の白い綺麗な人。

 私は彼が大好きなの。

 私の寮はレイブンクロー。
 彼とは相容れない寮だけれども、彼はどの寮の生徒にも分け隔てなく話をしてくれるの。
 とっても素敵なの。

 レイブンクローと、スリザリンの合同授業は、薬草学。
 めったに話をすることなんてないけれど、後姿を見れただけだって、本当に幸せなんだから。

 「この前切らしてしまった薬、買出しに行く暇あるのか?」

 「大丈夫だよ。薬草学の先生は優しいから。ちゃんと説明すれば分けてもらえると思うよ?」

 「ならいいが…今週実験をするって、スネイプ教授に話をつけておいたから、材料がそろわないと困るんだ」

 「今度の実験は危険だから、スネイプ教授に監督してもらわないといけないものね」

 なんだか難しい会話をしながら入ってきたのは、とそのルームメイトの
 はいつものように紅獅子を従えて、優しい笑みを浮かべて教室に入ってきた。
 この姿が見れただけで、私は今日一日とても幸せな気分に浸れるの。

 「おはよう、。どうだい、調子は」

 「おはよう。今朝は気分がいいんだ」

 「、丁度良かった。薬草学のレポートを見てもらえないかな?」

 「来週提出だよね?」

 「ああ。一度君に読んでもらいたくて」

 「いいよ」

 「おはよう、。いつ見ても貴方たちは綺麗ね」

 「ありがとう、パンジー。でも、おだてても何もでないよ?」

 は有名。
 は人気者。
 だから、声をかける生徒がとっても多い。
 私は…いつも声をかけようと思ってるのに、スリザリンの生徒たちに邪魔されてしまって、声をかけることが出来ないの。

 「あの…」

 おまけに。
 私が話しかけようとすると、隣にいるがすごい表情で私を見るものだから、余計に声をかけづらくなってしまうの。

 も有名よ。
 と同じくらいね。
 は…純血主義で有名なの。
 私たちほかの寮の生徒は、彼と話をしたことなんて一度もないわ。
 優しいが、どうしてそんな頭の固い純血主義の奴なんかと付き合っているのかは疑問だけれど、ルームメイトだから仕方がないのかもしれないわね。
 それに、がスリザリンに選ばれたのだって何かの間違いだと思うのよ。
 彼は…ほかのスリザリンの生徒とはまったく違っているんですもの。

 「ええと…おはよう、レジーナ、かな?」

 「え、あ……おはよう…」

 「さっき、声かけてくれたよね。返事できなくてごめんね」

 声をかけられて振り返った私は、の笑顔を目の前にした。
 顔から火が出るかと思ったわ。
 が優しく話しかけてくれて、それに、話しかけようとした私のことを無視しなかったんですもの。
 ほんと、嬉しいわ。
 隣に居るは、私のことを見てため息をついていたけれど、話しかけられたものの勝ちよ。

 得意げになっていたら、ばたん、と扉が開いたの。
 薬草学の先生が教室に入って来たところだったわ。
 いけない、いけない。
 ちゃんと席について、に私が優秀な生徒であることをしっかり見てもらわなくちゃ。

 「…では、今日の授業は二人一組で行います。これから私が番号を書いた紙を渡しますから、同じ番号の方と組んでくださいね」

 先生は白い紙を一人ひとりに配っていった。
 と同じ番号をもらいたいわ…
 先生が私の元へやってくるまで、私はじっと祈っていたの。

 「レジーナ、貴女の番号ですよ」

 手元に来た番号は18。
 誰が18番かしら?
 だといいんだけれど……

 「、番号は?」

 「えっと……23」

 「おや、分かれたね。僕は18だ」

 「珍しいね。まぁ、たまにはいいんじゃないかな。パートナーの子と仲良くね」

 「…スリザリン生ならな」

 「スリザリンじゃなくてレイブンクローだったら?」

 「……それだったら、も僕の対応は良く知っているだろう?」

 「まあね。それがだから」

 はふふふっ、と笑っていた。
 なんだか嫌な予感がしたけれど、もう一度手元の紙を良く見てみれば、やっぱり私の番号は18だった。
 と一緒なんて……
 ちょっとふてくされてしまったわ。

 「それでは、同じ番号の方と二人組みになってくださいね」

 先生がそういう。
 気が重いけれど、仕方なくの近くへ行くの。
 でも、作業がはかどらなかったら、お互い減点ですもの、大丈夫……よね?

 「あ、。同じ番号なの。よろしくね?」

 背の高いは私を見下ろす。
 冷たい目で見られて、彼はため息をついた。
 返事もしてくれなかったわ。
 すぐ近くのを見れば、彼もやっぱりレイブンクローの生徒と組んではいたけれど、それは笑顔でおしゃべりを楽しんでいるのに。
 なんなのよ、ほんと。

 「薬草は丁寧に取り扱ってくださいね。先週蒔いたルテ・インパチェンスが植え替えの時期ですからね」

 先生は優雅に説明を始めていく。
 私の気も知らないで…

 「一人がルテ・インパチェンスを土から掘り起こしてください。もう一人は、土に熱湯を注いだ鉢を用意してくださいね」

 そんな説明が続く。
 それでは、やってください、と先生は言った。

 「…どっちがどの役をやる?」

 尋ねてみたけれど、当然のごとく返事は返ってこない。
 彼はただ黙々と作業をし始める。
 どうやら、根を掘り起こす準備をしている。
 仕方なく私は、鉢に土を入れて、そこに熱湯を注ぐ作業をする。

 ……私だって、この仏頂面の少年とうまくやろうと思ってがんばってたのよっ?!
 それなのに…

 せっかく私が準備したものは使わずに、全部自分でやりやがったっ!!

 「…、ペアの方はどうなさいまして?」

 「僕の作業が気に入らないのか、一人であそこでふてくされていますが」

 ふいっ、てから離れた。
 だって、ペアになったのに、どうして一緒に作業しようとしないのよ。
 おまけに私が準備したって目もくれないしっ!!
 もうっ!
 この、って人は何なの?
 おまけに先生に言いつけるなんて………

 「…レジーナ。今すぐ作業に戻りなさい。そうしないとレイブンクローから減点いたしますよ」

 「でも先生、が…」

 「言い訳は無用です、レジーナ。あの作業は一人で行うのが大変だからペアになってもらったんです」

 仕方なくの元へ戻る。
 でも、彼は口を利いてなんてくれないし、やっぱり私はする作業もなくぼーっと突っ立っているしかないのよ。
 結局何も出来なかった。

 「…レジーナ。作業をする気がないようですね。レイブンクローから10点減点いたします」

 「先生、それはないですよ、だってっ!!」

 「先ほど私は忠告しました」

 先生の態度は冷たかった。
 私の気持ちなんてまったくわかってくれないのよ?
 ああ、これがと一緒だったら……

 「何よっ!が悪いのよっ!!このひねくれた純血主義者がっ!

 思わず声に出してしまった言葉に、あたりが騒然となった。
 水を打ったようにあたりが静まり返っている。

 「解りました、レジーナ。そうやってパートナーのせいにするのでしたら、相手を変えましょう。、変わって貰えるかしら?」

 「あ、はい。解りました」

 は、それまでパートナーだった人にごめんね、と言ってから私のほうにやってきた。
 すごく嬉しかった。

 「…ねぇ、。私何をすればいいかな?次、何の作業をするの?」

 は優しいから大丈夫だと思ってたの。
 でも、そんなことはなかったわ。

 「最初に先生が説明したでしょ?自分で理解して動いて」

 が言った言葉は冷たかった。
 話すときだって私の目を見てもくれないんだから。

 「…忘れちゃったの。もう一度教えてくれないかしら?」

 「……先生に聞きにいけばいいんじゃないかな」

 やだ、どうしてこんなにつめたいの?
 さっきまであんな笑顔だったのに。

 「…ねぇ、
 「よくそうやって何度も僕に話しかけられるね

 よりいっそう冷たい声でそういったは、作業する手を止めて私のほうを振り向いた。
 その目は…なんだか恐かった。

 「僕の友達を侮辱しておいて、よくもまぁ、僕にそんな笑顔で話しかけられるものだ」

 「え?」

 「自分に実力が無いのに他人を侮辱するような人間とは話をする気はないよ」

 のその声が、嫌に頭に残って離れなかった。
 それから授業が終わるまで、は私とひと言も口を利いてくれなかった。
 作業も一人で行って…
 結局私はレイブンクローから20点も減点されてしまって、肩身が狭くなってしまったわ。

 は…スリザリンに選ばれて良かったのかもしれない。
 そんな風に思った。























 一日を終えたたちは寮に戻って話をしていた。

 「…それにしても薬草学のときの、レイブンクローの生徒には参ったよ」

 「たいした能力もないくせによくもを侮辱できたものだと思うよ」

 「…だが、がお灸を添えておいたんだろう?」

 「もちろん。友達を侮辱するなんて最低の行為だからね」

 「……ありがたい」

 が少し、照れたように礼を述べた。
 はにっこり笑って、ココアをに手渡した。

 「薬草学のときは、好きな生徒とペアが組めるようにしてください、って申請しておいたけど…次の授業ではどうなるかな?」

 「見ものだな」

 スリザリン寮のある部屋に、二人の快活な笑い声が響いていた。






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 我ながら長いと思ったorz
 まあ、気楽に読んでください。